



ブラッドオレンジとサフラン《ディスティラーズ・カット》.リキュール アルコール度数:59%vol
感じること
これは「不埒」ではない──「スキャンダル」そのもの。
59度。あからさま。抑えきれない。
恥という言葉を忘れた液体。
栓を開けた瞬間、空気が変わる。
オレンジの精油が瓶口から弾け、
サフランは肌と熱と欲を思わせる。
香りは、誘惑というより侵略だ。
ひと口目は、我を失った接吻。
甘く、濃く、遠慮のかけらもない。
ブラッドオレンジは、ほとんど淫らなほど熟れていて、
サフランは、その上に熱を乗せる。
しっとりと、背筋に沿う吐息のように。
口あたりは、濃厚、油膜、重厚。
滴る熱が、唇を濡らし、
舌を覆い、
わざとらしいほどゆっくりと流れる。
ここに余白はない。
ただ、過剰と、肉感と、露骨な現在。
液体でできた、純然たるエクスタシー。
知ること
この《ディスティラーズ・カット》には、
たった一つのルールしかない:
「すべてを、やりすぎること」。
シチリア産ブラッドオレンジは、限界まで熟れさせる。
果汁ではなく、もはや蜜。
指先にまとわりつく香油。
サフランは、イラン産ネギンとサルゴル。
常識を無視して投入する。
液体が輝くまで。
まるで溶けた情熱そのもの。
調整なし。遠慮なし。
59度のアルコールは、
ただ強いのではなく、
暴力的なまでの告白。
手仕事による少量蒸留。
だがその丁寧さも、
破壊のための構築。
この強さに耐えられる者だけが、
その奥にある報酬を得る。
忘れえぬ体験という名の、熱い傷跡。
味わうこと
「上品に飲む」という概念は、ここには通用しない。
これは「味わう」ものではなく、
「身を委ねる」ものだ。
グラスは小さくてよい。
だが心は、開ききっていなければならない。
カクテルにする? 可能だが、覚悟が要る。
「サフラン・オルジー・マティーニ」──
唯一この過剰を受け止められる配合。
ただし、それを作る時点で、
すでに境界線は越えている。
料理との相性?
ほとんど無意味。
あるとすれば、
漆黒のチョコレート、
熟れすぎたイチジク、
過剰なまでに甘いデーツ。
あるいは、何も合わせずに。
ただ、あなたと瓶だけで。
ためらいのない欲望。
羞恥のない瞬間。
完全な没入。
これは、ただの酒ではない。
液化されたエスカレーション。
狂気すれすれの歓喜。
香図書館 第八三七番
度数:59%vol
熟成可能期間:約十年
製法:リキュール
濾過:なし
植物名:シトラス・シネンシス(ブラッドオレンジ)
クロクス・サティブス(サフラン)
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