


ブラックチェリー レゼルブ 「ディスティラーズ カット」 .ブランド 55%vol
日本への最上の献辞ともいえる一本。
トニックウォーターに溶けたとき、それはまさに桜花そのものとなる。
花見をこれほどまでに力強く支えるものは、他にない。
感ずること
ときに、過剰こそが真の完成を呼ぶ。
この蒸留酒は均衡への賛歌ではなく、極限への記念碑だ。
野生桜樽で熟した黒桜――その究極形。
五五度の烈しき力、前例を超える香の密度、そしてほとんど理解を拒むほどの強度。
味覚も、感覚も、さらには理性さえも試される。
黒桜はここで光の化身となると同時に、境界の体験ともなる。
樹脂の香と揮発油が嵐のごとく駆け抜け、底知れぬ深みと重みを携えて、既知のすべてを凌駕する。
優しさはなく、迎合もない――それは空気が薄く、僅かな者しか辿り着けぬ頂。
多くにとっては飲み得ず、わずかな者にとっては啓示。
知ること
これは凡庸な酒ではない。
妥協ではなく、純粋形を目指す技の頂き。
選び抜かれた黒桜は、意図して暁の冷気の中で摘まれる。
野生桜樽での短期熟成――わずか数か月――により、桜の明確な香味を覆わず、濃密で特異な芳香を刻む。
さらにその後、幾年にも及ぶ静かな眠りが、調和と均衡をもたらす。
緻密で硬質な野生桜の木は、この香味世界の設計者だ。
樹脂、揮発油、重厚な木香――それらが支配する味の構図。
この熟成は単なる仕上げではない。
自然との格闘であり、やがて全く新しい存在として甦る変容の道程。
そして、その極みにあるのは、往々にして過剰の境界線。
味わうこと
均衡の外にある酒は、いかなる味か。
この蒸留酒は、望まれぬかもしれぬ答えを差し出す。
最初の一滴が舌に触れた瞬間――雷鳴の衝撃。
樹脂、テレピン、濃い揮発油、そして全てを呑み込む果実の濃密さ。
柔らかな入口はない。配慮もない。
すべてが、一度に押し寄せる。
そのまま口にすれば、それは快楽よりも試練。
だが、その険しさこそ魅力。
黒桜の力と野生桜樽の重みが、迎合も容易さも拒む体験へと昇華する。
この酒は、忍耐と敬意、そして極限を求める舌を要する。
その者のみが、報いに触れる。
比肩するものは、存在しない。
これは随意に楽しむ酒ではない。
一滴ごとに、妥協なき技の証を示す作品。
非凡を求めるわずかな者にとっての頂――
EDITION VIEUX RÉSERVE SPÉCIALE における究極の経験。
香の書庫 第二百二十七号
EDITION VIEUX RÉSERVE SPÉCIALE
度数:五五度
熟成可能年数:測りがたし――二十年後の姿すら我らも予見できぬ
原料:黒桜(Prunus avium)
適す器:リーデル・ソムリエ コニャックXO
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